「定年後はどんな仕事を選べばいい?」
「給料を優先した方がいい?」
「正社員にこだわるべき?」
「今までと違う仕事にも挑戦してみたい」
60代で定年を迎えたあと、もう一度働こうと考えたときに悩むのが仕事選びです。
結論からいうと、定年後の仕事は、「採用される仕事」ではなく「無理なく続けられる仕事」を選ぶことが重要です。
2024年の就業率は60~64歳で74.3%、65~69歳で53.6%となっており、多くの60代が実際に働いています。厚生労働省は2029年までに、それぞれ79.0%以上、57.0%以上へ高める政策目標も設定しています。(厚生労働省)
一方、高齢期の働き方は人によって大きく異なります。
例えば、
- フルタイムで収入を得たい
- 年金を補う程度に働きたい
- 週3日程度働きたい
- これまでの経験を活かしたい
- 未経験の仕事を始めたい
- 70歳以降も長く働きたい
では、選ぶべき仕事は同じではありません。
厚生労働省も、高齢期の就業ニーズは多種多様であり、年金受給状況など生活環境も考慮して就労支援する必要があるとしています。(厚生労働省)
この記事では、定年後の仕事選びで後悔しないために確認したい7つのポイントと、求人を選ぶときの具体的な考え方を解説します。
定年後の仕事選びで最初に決めること
求人サイトを開く前に、一つ決めておきたいことがあります。
それは、
「なぜ働くのか」
です。
例えば、
収入を得たい
年金だけでは不足する生活費を補いたい。
生活リズムを維持したい
定年後も決まった時間に働きたい。
社会とのつながりを持ちたい
人との接点を維持したい。
経験を活かしたい
長年培ってきた知識や技術を仕事で使いたい。
まだ仕事を続けたい
働くこと自体にやりがいを感じている。
どれも間違いではありません。
重要なのは、
自分が働く目的を先に決めること
です。
働く目的が曖昧なまま求人を探すと、
「給与はいいが体力的にきつい」
「仕事内容は楽だが収入が足りない」
というミスマッチが起こりやすくなります。
定年後の仕事選びで失敗しない7つのポイント

1.「採用されやすさ」より「続けられるか」で選ぶ
60代の再就職では、
「60代歓迎だから」
「未経験でも応募できるから」
という理由だけで求人を選ばないことが重要です。
例えば、
夜勤あり・立ち仕事8時間
の求人に採用されても、体力的に続かなければ意味がありません。
60代では、
採用される
↓
働き始める
↓
長く続けられる
まで考えましょう。
確認したいのは、
- 仕事内容
- 勤務時間
- 休憩
- 夜勤
- 立ち仕事
- 重量物
- 通勤
などです。
定年後の仕事では、**「5年続けられるか」**という視点を持つと選びやすくなります。
2.これまでの経験を捨てない
定年後だからといって、
「60代向けの仕事をゼロから探さなければならない」
わけではありません。
例えば、
営業30年
→ 法人営業・ルート営業・顧客対応
経理25年
→ 経理・会計・事務
製造30年
→ 品質管理・生産管理・検品
管理職
→ 現場管理・人材育成
など、これまでの経験を活かせる可能性があります。
厚生労働省の2026年度からの基本方針でも、高年齢者の多様な就労経験やスキルを踏まえた求人開拓を行い、能力と希望に応じた再就職を支援するとしています。(厚生労働省)
したがって、
経験職
↓
関連職種
↓
未経験職
の順番で探すのがおすすめです。
3.収入だけで仕事を決めない
定年後でも収入は重要です。
しかし、
月給が一番高い求人=一番良い仕事
とは限りません。
例えば、
A社
月給25万円
通勤90分
週5日
夜勤あり
B社
月給20万円
通勤20分
週4日
日勤のみ
だった場合、どちらが良いかは人によります。
さらに給与を見るときは、
- 基本給
- 賞与
- 手当
- 交通費
- 社会保険
なども確認しましょう。
一方で、生活上必要な収入を無視するのも問題です。
そのため、
希望収入
と、
最低限必要な収入
を分けて考えておくとよいでしょう。
4.体力に合った仕事を選ぶ
定年後の仕事選びでは非常に重要です。
例えば、
- 清掃
- 警備
- 介護
- 倉庫
- 配送
- 製造
などは60代向け求人が見つかることがあります。
しかし同じ職種でも、仕事内容は大きく違います。
例えば「警備」でも、
施設内での巡回
と、
真夏の屋外交通誘導
では身体的負担が違います。
また「軽作業」と書いていても、重量物を扱う場合があります。
面接では、
「一日にどの程度歩きますか?」
「立ち仕事は何時間程度ですか?」
「扱う荷物は最大何kg程度ですか?」
など、具体的に確認して構いません。
5.勤務時間・勤務日数を無理に合わせない
定年前は週5日・フルタイムで働いていた人でも、
定年後も同じ働き方が最適とは限りません。
例えば、
週5日
収入を優先したい人
週4日
仕事と私生活を両立したい人
週2~3日
年金+補助収入を考える人
などがあります。
働く日数を減らせば収入は下がる可能性がありますが、長く働き続けやすくなる場合もあります。
「今まで週5日だったから」
ではなく、
これから何年働きたいか
を基準に考えましょう。
6.通勤時間を軽視しない
意外と見落としやすいポイントです。
例えば、
片道90分
なら往復3時間です。
週5日勤務なら、通勤だけでかなりの時間を使います。
60代では、
- 自宅から近い
- 乗り換えが少ない
- 車通勤可能
- 徒歩時間が短い
なども仕事選びの重要な条件になります。
給与が月2万円高くても、
毎日2時間余計に通勤する
のであれば、本当にその求人が良いか比較してみましょう。
7.「何歳まで働けるか」を確認する
60代では特に重要です。
例えば63歳で転職するとします。
その会社の定年が65歳なら、
65歳以降どうなるのか
を確認しておきましょう。
現在、高年齢者雇用安定法では、65歳までの雇用確保措置が企業に義務付けられており、70歳までの就業機会確保は努力義務となっています。(厚生労働省)
ただし、
すべての人が自動的に70歳まで正社員として働ける
という制度ではありません。
企業によって、
- 定年
- 再雇用
- 契約更新
- 雇用形態
- 70歳以降の制度
が異なります。
応募・面接時に確認しましょう。
定年後に選びやすい仕事の3パターン

パターン1|これまでの経験を活かす
まずおすすめしたい方法です。
例えば、
営業
→ 法人営業・ルート営業
経理
→ 経理・会計
製造
→ 品質管理
技術
→ 技術支援
などです。
長年の経験を使える仕事なら、完全未経験より仕事を覚えやすい可能性があります。
パターン2|経験を横展開する
同じ職種で求人が少ない場合です。
例えば、
営業
→ 販売・接客・コールセンター
管理職
→ マンション管理・施設管理
製造
→ 検品・軽作業
事務
→ 受付・電話対応
などです。
職種は違っても、使う能力は同じ
という仕事を探します。
パターン3|未経験から始める
今までとまったく違う仕事に挑戦する方法もあります。
例えば、
- 警備
- 清掃
- マンション管理
- 介護補助
- 軽作業
- 販売
- 調理補助
などです。
ただし、
「未経験でも採用されやすそうだから」
だけで決めず、仕事内容・体力・勤務時間を確認してください。
正社員にこだわりすぎない
定年後でも正社員を目指すことは可能です。
しかし、
正社員=必ず一番良い働き方
ではありません。
例えば、
正社員
週5日・残業あり・通勤60分
契約社員
週4日・残業なし・通勤20分
なら、定年後の希望によっては契約社員の方が合う人もいます。
雇用形態には、
- 正社員
- 契約社員
- 嘱託
- パート
- アルバイト
などがあります。
「何としてでも正社員」
ではなく、
「自分の目的を実現できる雇用形態」
を選びましょう。
「定年前と同じ年収」にこだわりすぎない
定年前に管理職などを経験している場合、年収が高いことがあります。
例えば、
定年前:700万円
再就職後:400万円
というケースも考えられます。
給与が下がることを無条件に受け入れる必要はありません。
ただし、定年前の年収には、
- 役職
- 勤続年数
- 社内評価
- 手当
などが含まれていた可能性があります。
再就職先では仕事内容や責任範囲が変わるため、給与水準も変わることがあります。
年収だけではなく、
勤務時間・役割・通勤・何歳まで働けるか
まで含めて比較しましょう。
「楽そうな仕事」で選ぶのも危険
例えば、
「マンション管理は楽そう」
「清掃なら簡単そう」
「警備なら座っているだけだろう」
というイメージだけで選ぶのは避けましょう。
実際の仕事には、
- 巡回
- 清掃
- 来客対応
- クレーム対応
- 夜勤
- 長時間立つ
などが含まれる場合があります。
職種名ではなく、
求人票の仕事内容
を読んで判断してください。
「シニア歓迎」だけで応募しない
求人広告で、
「60代活躍中」
「シニア歓迎」
と書かれていても、自分に合う仕事とは限りません。
確認するのは、
- 具体的な仕事内容
- 給与
- 勤務時間
- 必要資格
- 体力
- 雇用形態
- 契約期間
です。
「60代を採用しているか」と、
「自分が長く働けるか」
は別の問題です。
定年後に仕事を決める前のチェックリスト

求人へ応募する前に、次を確認しましょう。
- □ なぜ働きたいのか決めた
- □ 月いくら必要か計算した
- □ 週何日働きたいか決めた
- □ 1日何時間働けるか考えた
- □ 通勤時間の上限を決めた
- □ 夜勤の可否を決めた
- □ 体力的に可能か確認した
- □ これまでの経験を活かせるか確認した
- □ 雇用形態を確認した
- □ 定年年齢を確認した
- □ 再雇用制度を確認した
- □ 契約更新条件を確認した
- □ 何歳まで働きたいか考えた
すべて希望どおりの求人を探す必要はありません。
譲れない条件を3つ程度決める
と仕事を選びやすくなります。
定年後の仕事選びで失敗しやすい7つのケース

1.給料だけで選ぶ
体力・通勤・勤務時間も確認します。
2.「60代歓迎」だけで選ぶ
仕事内容を見ましょう。
3.過去の役職にこだわる
役職より能力を活かせる仕事を探します。
4.未経験職しか見ない
まず経験職も確認しましょう。
5.正社員だけに限定する
働く目的によっては契約社員・パートも候補です。
6.体力を過大評価する
採用されるために「何でもできます」と答えないようにします。
7.何歳まで働ける会社か確認しない
定年・再雇用・契約更新を確認します。
定年後の仕事を決める「優先順位表」を作る
おすすめなのが、
絶対に必要
できれば希望
こだわらない
の3段階に分ける方法です。
例えば、
| 条件 | 優先度 |
|---|---|
| 月収15万円以上 | 絶対必要 |
| 通勤45分以内 | 絶対必要 |
| 日勤のみ | 絶対必要 |
| 週4日 | できれば |
| 経験職 | できれば |
| 正社員 | こだわらない |
| 役職 | こだわらない |
こうすると、
給与25万円だが夜勤あり
という求人が出てきても、自分の基準で判断できます。
定年後は「今」ではなく5年後も考える
例えば60歳なら、
65歳になったときも続けられるか
を考えます。
65歳なら、
70歳まで続けられるか
です。
現在、高齢者の就業率は上昇しており、厚生労働省も2026~2029年度の基本方針で、70歳までの就業確保措置の拡大などを進める方針です。2025年6月時点で、70歳までの就業確保措置の実施率は34.8%となっています。(厚生労働省)
定年後の仕事は、
「今できるか」
だけでなく、
「数年後にも続けられそうか」
で選ぶことが重要です。
仕事選びに迷ったらハローワークで相談する
自分だけでは、
「どの仕事が合っているかわからない」
ということもあるでしょう。
概ね60歳以上なら、全国の主要ハローワーク300か所に設置されている生涯現役支援窓口を利用できます。(厚生労働省)
対象には在職中の人も含まれます。
生涯現役支援窓口では、
- 就労経験
- 年金受給状況
- 現在の生活環境
- 希望する働き方
などを踏まえて職業相談・職業紹介を行っています。必要に応じて職場見学、面接会、セミナー、職業訓練なども案内しています。(厚生労働省)
「退職してから考える」のではなく、在職中から相談する方法もあります。
求人は一つのサービスだけで探さない
定年後の仕事は、
ハローワーク
シニア・地域求人を探す
求人サイト
自分で幅広く検索
企業採用ページ
気になる会社を直接確認
人材紹介
専門経験・管理職経験を活かす
シルバー人材センター
短時間・地域の仕事を探す
というように使い分けられます。
まず現在の求人を見てから退職後の働き方を決める
まだ定年前なら、先に求人を見てみることをおすすめします。
例えば、
現在の職種+勤務地
で検索します。
その結果、
経験職の求人が十分ある
→ 経験を活かした再就職を検討
求人はあるが週5日が多い
→ 勤務日数を検討
経験職がほとんどない
→ 関連職種まで広げる
という判断ができます。
60代でも応募できる求人を確認してみる👇
リクナビNEXT定年後の仕事選びについてよくある質問

定年後はどんな仕事がおすすめですか?
一律には決められません。
まずこれまでの経験を活かせる仕事を確認し、関連職種、未経験職の順に広げる方法がおすすめです。
定年後は正社員の方がいい?
必ずしも正社員が最適とは限りません。
収入・勤務時間・通勤・何歳まで働きたいかによって、契約社員やパートの方が合う場合もあります。
60歳から未経験の仕事でも大丈夫?
未経験から応募できる求人もあります。
ただし、「未経験可=簡単な仕事」と考えず、仕事内容・必要な体力などを確認しましょう。
65歳を過ぎても働けますか?
働いている人は多く、2024年の65~69歳就業率は53.6%でした。(厚生労働省)
また、70歳までの就業機会確保について企業には努力義務がありますが、すべての企業で70歳まで同一条件で雇用されることを保証する制度ではありません。(厚生労働省)
定年前と同じ年収を希望してもいい?
希望することはできます。
ただし、仕事内容・役職・勤務時間が変わる場合は給与水準も変わる可能性があります。現在の求人相場も確認しましょう。
ハローワークに相談できますか?

概ね60歳以上なら、生涯現役支援窓口を利用できます。在職中でも利用可能で、職業相談・職業紹介などを無料で受けられます。(厚生労働省)
まとめ|定年後は「どこなら雇ってくれるか」より「どこなら長く働けるか」で選ぼう
定年後の仕事選びで失敗を防ぐポイントは、
- 採用されやすさより続けられるかを見る
- これまでの経験を捨てない
- 収入だけで決めない
- 体力に合った仕事を選ぶ
- 勤務日数・勤務時間を無理に合わせない
- 通勤時間を確認する
- 定年・再雇用・契約更新を確認する
ことです。
60代で働くことは、現在では珍しいことではありません。2024年には60~64歳の74.3%、65~69歳の53.6%が就業しており、政府もさらに高齢期の就業機会を拡大する方針です。(厚生労働省)
しかし、
多くの60代が働いているから、自分もフルタイムで働かなければならない
という意味ではありません。
人によって、
収入を優先したい
経験を活かしたい
週3~4日にしたい
70歳まで無理なく働きたい
など目的は違います。
だからこそ、求人を見る前に、
何のために働くのか
↓
月いくら必要なのか
↓
週何日働きたいのか
↓
何歳まで働きたいのか
を決めてください。
そのうえで、
経験職
↓
関連職種
↓
未経験職
の順番に求人を探します。
定年後の仕事選びで最も避けたいのは、
「60代だから、この仕事くらいしかない」
と最初から選択肢を狭めることです。
厚生労働省も、高齢期の就業ニーズは多様であることを前提に、概ね60歳以上を対象とした生涯現役支援窓口で個別の再就職支援を行っています。(厚生労働省)
これまでの経験と、これからの生活の両方を基準に、無理なく長く続けられる仕事を選ぶことが、定年後の再就職で後悔を減らすポイントです。

