「会社を辞めたら年金はどうなる?」
「厚生年金から国民年金への切り替えは必要?」
「60歳を過ぎて退職した場合も手続きする?」
退職すると、健康保険だけでなく年金の手続きも確認する必要があります。
特に、会社員として厚生年金に加入していた20歳以上60歳未満の人が、退職後しばらく再就職しない場合は、原則として国民年金の第1号被保険者への切り替えが必要です。 (年金ネット)
一方で、
- すぐ次の会社へ転職する
- 配偶者の扶養に入る
- すでに60歳以上である
場合では手続きが異なります。
この記事では、退職後の年金手続きを状況別に分かりやすく解説します。
退職後の年金手続きは3パターンで考える
退職後の年金は、主に次の3つに分かれます。
| 退職後の状況 | 主な年金手続き |
|---|---|
| すぐ再就職する | 転職先で厚生年金へ加入 |
| 60歳未満で再就職しない | 国民年金第1号へ切り替え |
| 配偶者の扶養に入る | 国民年金第3号へ切り替え |
さらに、60歳以上の場合は原則として国民年金への強制加入対象ではないため、別に考える必要があります。
1.すぐ転職する場合
退職後すぐ別の会社へ入社し、厚生年金の加入対象になる場合は、新しい会社が厚生年金の資格取得手続きを行います。
例えば、
3月31日 前職退職
4月1日 転職先入社
であれば、基本的には自分で国民年金へ切り替える必要はありません。
新しい勤務先が厚生年金の加入手続きを行います。日本年金機構でも、第2号被保険者になる場合は勤務先が手続きを行うと案内しています。 (年金ネット)
確認しておきたいもの
- 基礎年金番号
- マイナンバー
- 転職先の社会保険加入日
などです。
2.60歳未満で再就職しない場合
ここが最も重要です。
日本国内に住む20歳以上60歳未満の人は、厚生年金などに加入していなければ、原則として国民年金に加入します。
会社を退職して厚生年金から外れ、しばらく再就職しない場合は、
国民年金第1号被保険者
への切り替えが必要です。 (年金ネット)
例えば、
55歳で退職
↓
しばらく転職活動
なら、自分で国民年金の手続きをします。
国民年金への切り替えはいつまで?
第1号被保険者になる場合、原則として14日以内に手続きを行います。日本年金機構でも、国民年金第1号への切り替えについて14日以内の届出を案内しています。 (年金ネット)
退職したら、
「転職先が決まるまで何もしなくていい」
というわけではありません。
国民年金の手続きはどこでする?
主な手続き先は、
- 住所地の市区町村役場
- 年金事務所
です。
現在は、マイナポータルから電子申請することもできます。日本年金機構は、国民年金への加入についてオンライン申請、窓口、郵送の方法を案内しています。 (年金ネット)
国民年金への切り替えに必要なもの

手続き方法によって異なりますが、日本年金機構では窓口手続きの際に、
- 基礎年金番号が分かるもの
- マイナンバーが分かるもの
- 本人確認書類
などを案内しています。 (年金ネット)
また、退職日を確認するために、
- 離職票
- 退職証明書
- 健康保険資格喪失証明書
などを求められる場合があります。
自治体や年金事務所へ事前に確認すると安心です。
3.配偶者の扶養に入る場合
退職後、会社員・公務員など厚生年金に加入している配偶者の扶養に入る場合は、
国民年金第3号被保険者
になる可能性があります。
日本年金機構では、退職後に配偶者の健康保険の被扶養者となる場合、第3号被保険者の手続きを行うと案内しています。 (年金ネット)
第3号被保険者の手続きはどこでする?
第3号被保険者になる場合は、原則として配偶者の勤務先を通じて手続きします。 (年金ネット)
自分で市役所へ第1号の加入手続きをするケースとは異なります。
まず配偶者の会社の人事・総務担当者へ相談しましょう。
第3号被保険者なら国民年金保険料を自分で払う?
第3号被保険者として認定されれば、国民年金保険料を本人が個別に納める必要はありません。
ただし、健康保険の扶養と年金の第3号被保険者には条件があります。
所得・収入などの要件については配偶者の加入する健康保険や勤務先へ確認してください。
60歳以上で退職した場合は国民年金への切り替えが必要?

原則として、60歳以上なら20歳以上60歳未満を対象とする国民年金の強制加入期間を終えています。
日本年金機構は、国民年金への原則的な加入対象を日本国内に住所のある20歳以上60歳未満の人としています。 (年金ネット)
そのため、
62歳で会社を退職
↓
再就職しない
という場合、55歳で退職した人と同じように第1号被保険者へ切り替える手続きは原則ありません。
ただし、60歳時点で老齢基礎年金の受給資格や納付月数が不足している場合などには、国民年金へ任意加入できるケースがあります。
60歳以降の任意加入とは?
国民年金は原則60歳までですが、
- 保険料納付済期間が480月に達していない
- 老齢基礎年金を満額に近づけたい
- 一定の受給資格期間を満たしたい
などの条件に該当する場合、60歳以降に任意加入できることがあります。
60代で退職する場合は、
「もう60歳だから年金は何もしなくていい」
と一律に判断せず、自分の加入記録を確認しておくと安心です。
「ねんきんネット」や年金事務所で確認できます。
60歳未満の配偶者も手続きが必要になる場合がある
例えば夫が会社員で、妻が扶養に入って第3号被保険者だったとします。
夫が退職すると、夫が厚生年金の第2号被保険者ではなくなるため、60歳未満の配偶者も第3号の資格を失い、第1号への切り替えが必要になる場合があります。
日本年金機構も、退職した本人だけでなく、扶養されている配偶者について必要な切り替え手続きがあることを案内しています。 (年金ネット)
これは見落としやすいポイントです。
配偶者が65歳になった場合も注意
少し特殊ですが重要です。
第3号被保険者は、厚生年金等に加入する配偶者に扶養されている20歳以上60歳未満の人です。
日本年金機構によると、配偶者が65歳に到達して老齢基礎年金の受給権を満たすなど、第2号被保険者でなくなった場合、60歳未満の配偶者は第3号から第1号への切り替えが必要になる場合があります。 (年金ネット)
50代後半の夫婦では確認しておきたいところです。
国民年金保険料はいくら?

国民年金保険料は年度ごとに決まります。
記事では毎年金額を書き換える必要があるため、固定額を本文の中心にするより、
「最新の保険料は日本年金機構で確認してください」
としておく方が更新しやすいでしょう。
重要なのは、
厚生年金では給与から天引きされていたが、第1号被保険者になると自分で国民年金保険料を納付する
という点です。
手続き後、日本年金機構から納付案内が届きます。 (年金ネット)
退職して収入がない場合でも年金保険料は払う?
原則として、第1号被保険者になれば国民年金保険料の納付が必要です。
ただし、
失業して保険料を払うことが難しい
場合には、免除・納付猶予制度を利用できる可能性があります。
失業した場合は国民年金保険料の特例免除がある
退職した人にとって重要な制度です。
国民年金保険料の免除審査では通常、本人・配偶者・世帯主などの所得が審査対象になります。
しかし、失業等による特例免除では、退職・失業した本人の前年所得を除外して審査する仕組みがあります。 (厚生労働省)
つまり、
前年は会社員として年収が高かった
という人でも、退職後に免除対象となる可能性があります。
失業による免除申請には何が必要?
厚生労働省の案内では、失業の事実を確認できる書類として、
- 雇用保険受給資格者証
- 離職票
などの写しを添付して申請します。 (厚生労働省)
申請先は、
住民票のある市区町村役場
などです。
免除と未納は違う
ここは非常に重要です。
保険料を払えないからといって、
何も手続きせず放置
するのは避けましょう。
「免除・納付猶予」と「未納」は扱いが異なります。
免除等の承認を受ければ、老齢基礎年金の受給資格期間などに反映される場合があります。
一方、未納のままだと将来の年金額だけでなく、障害基礎年金・遺族基礎年金などにも影響する可能性があります。
支払いが難しい場合は、早めに年金事務所や自治体へ相談しましょう。
退職後すぐ再就職するつもりでも空白期間があれば?

例えば、
3月31日退職
4月15日入社
とします。
この場合、4月1日~14日は厚生年金に加入していない期間です。
年金制度は月単位で資格を考えるため、具体的な加入・保険料の扱いは退職日と資格取得日によって異なります。
数日だけだから自動的に何もしなくてよいと自己判断せず、市区町村や年金事務所へ確認してください。
退職後に再就職したら国民年金はどうなる?
第1号被保険者として国民年金へ加入したあと、再就職して厚生年金に加入すれば、第2号被保険者へ変わります。
厚生年金への加入手続きは転職先の会社が行います。 (年金ネット)
そのため、
再就職後も国民年金を二重に払い続ける必要はありません。
納付状況に疑問がある場合は年金事務所へ確認しましょう。
健康保険と年金は別々に考える
退職後の手続きで混同しやすい部分です。
例えば、
健康保険を任意継続
したからといって、
厚生年金も任意継続できるわけではありません。
健康保険の任意継続と厚生年金は別制度です。
60歳未満で厚生年金から外れた場合は、健康保険を任意継続していても、年金については原則として国民年金第1号への切り替えが必要です。 (年金ネット)
ここは非常に間違えやすいので注意してください。
退職後の年金手続き早見表
| 状況 | 年金手続き |
|---|---|
| 60歳未満・すぐ転職 | 転職先で厚生年金 |
| 60歳未満・再就職しない | 国民年金第1号 |
| 60歳未満・配偶者の扶養 | 国民年金第3号 |
| 60歳以上・再就職しない | 原則第1号への切替不要 |
| 60歳以上・厚生年金加入の仕事へ就職 | 勤務先で厚生年金 |
| 保険料が払えない | 免除・納付猶予を検討 |
50代で退職する場合は特に注意
50代で退職し、すぐ再就職しない場合は、60歳まで国民年金へ加入する必要があります。
例えば、
55歳で退職
↓
60歳まで無職
なら、原則として5年間は国民年金第1号被保険者となります。
この期間を未納にすると、将来の年金額へ影響する可能性があります。
保険料負担が難しい場合は、失業による特例免除を早めに検討しましょう。 (厚生労働省)
60代で退職する場合に確認したいこと
60歳を過ぎている場合は、国民年金第1号への強制加入は原則ありません。
ただし、
- 老齢基礎年金の納付月数
- 任意加入の必要性
- 再就職後の厚生年金
- 配偶者の第3号資格
などは確認しておきましょう。
特に配偶者が60歳未満なら、本人の退職によって配偶者側に手続きが必要になる場合があります。
退職前に確認する年金チェックリスト
- □ 自分は退職日時点で60歳未満か
- □ 転職先の入社日は決まっているか
- □ 厚生年金の空白期間があるか
- □ 国民年金第1号への切り替えが必要か
- □ 配偶者の扶養に入れるか
- □ 配偶者が第3号被保険者ではないか
- □ 基礎年金番号を確認した
- □ 退職日が分かる書類を保管した
- □ 保険料を払えるか
- □ 難しければ免除・納付猶予を検討した
- □ 60歳以上なら任意加入が必要か確認した
退職後の年金についてよくある質問
会社を退職したら必ず国民年金に入る?
いいえ。
日本国内に住む20歳以上60歳未満で、厚生年金等に加入していない場合は原則として国民年金第1号への加入が必要です。すぐ再就職して厚生年金へ加入する場合などは異なります。 (年金ネット)
国民年金への切り替えはいつまで?
第1号被保険者になる場合、原則14日以内に手続きを行います。 (年金ネット)
どこで手続きする?
住所地の市区町村役場や年金事務所で手続きできます。マイナポータルからの電子申請も可能です。 (年金ネット)
配偶者の扶養に入る場合は?
条件を満たして第3号被保険者になる場合は、配偶者の勤務先を通して手続きを行います。 (年金ネット)
60歳を過ぎて退職した場合も国民年金に入る?
国民年金の強制加入は原則20歳以上60歳未満です。そのため60歳以上で退職した場合は、原則として第1号への切り替えは不要です。ただし、任意加入を検討できるケースがあります。 (年金ネット)
失業して国民年金保険料を払えません
失業による特例免除を利用できる可能性があります。前年所得が高い場合でも、失業した本人の所得を除外して審査される仕組みがあります。 (厚生労働省)
健康保険を任意継続すれば厚生年金も継続される?
いいえ。
健康保険の任意継続と厚生年金は別です。60歳未満で厚生年金から外れた場合は、原則として国民年金への切り替えが必要です。 (年金ネット)
まとめ|退職後の年金は「年齢・再就職・扶養」で手続きが変わる
退職後の年金手続きは、
自分の年齢
+
次の勤務先
+
配偶者の扶養に入るか
で決まります。
基本的には、
- すぐ転職する
→ 転職先で厚生年金へ加入 - 60歳未満で再就職しない
→ 国民年金第1号へ切り替え - 60歳未満で配偶者の扶養に入る
→ 国民年金第3号へ切り替え - 60歳以上で退職する
→ 原則、第1号への強制加入は不要
と整理すると分かりやすいでしょう。 (年金ネット)
特に注意したいのは、
「退職したら会社が年金も全部手続きしてくれる」
と思わないことです。
60歳未満で退職し、厚生年金から外れた場合は、自分で国民年金への加入手続きをしなければならないケースがあります。
また、退職によって収入が減り、保険料の支払いが難しくなった場合は、何もせず未納にするのではなく、失業による特例免除や納付猶予制度を確認することが重要です。 (厚生労働省)
退職日が決まったら、
健康保険
↓
年金
↓
雇用保険
↓
税金
の順に必要な手続きを一覧にしておくと、退職後に慌てにくくなります。

