会社を退職すると、「会社を退職したらNISAも解約しないといけない?」
「転職するとNISAの手続きが必要?」
「退職して収入がなくなったら、NISAの積立はどうすればいい?」などの疑問を解決。
さらに、
- 健康保険
- 年金
- 雇用保険
- 税金
など、さまざまな手続きが必要になります。
そのため、
「NISAにも退職手続きが必要なのでは?」と思う方もいるでしょう。
結論からいうと、通常の退職・転職だけなら、NISA口座について特別な退職手続きは原則必要ありません。
NISAは会社を通じて加入する健康保険や厚生年金とは違い、本人が証券会社や銀行などに開設する制度です。
そのため、
会社を退職した
↓
NISA口座がなくなる
という仕組みではありません。
また、2024年からのNISAでは非課税保有期間が無期限化され、制度自体も恒久化されています。
ただし、
- 引っ越して住所が変わった
- NISAを使う金融機関を変更したい
- 海外へ転居する
- 退職で収入が大きく減った
場合は、それぞれ確認しておきたいことがあります。
この記事では、退職・転職したときNISAがどうなるのか、必要な手続きと注意点を分かりやすく解説します。
退職してもNISA口座はそのまま使える

まず最も重要なポイントです。
会社を退職しただけなら、NISA口座を解約する必要はありません。すでにNISAで、
- 投資信託
- ETF
- 株式
などを保有している場合も、そのまま保有できます。
2024年からのNISAでは、
- つみたて投資枠:年間120万円
- 成長投資枠:年間240万円
- 合計:年間最大360万円
- 非課税保有限度額:最大1,800万円
- 非課税保有期間:無期限
となっています。
これらの枠は、勤務している会社や会社員か無職かによって変わる制度ではありません。
転職してもNISAを移す必要はない
例えば、
A社勤務
↓
退職
↓
B社へ転職
というケースでも、NISAを開設している証券会社を変更する必要はありません。
例えば、
勤務先:A社 NISA:○○証券だった人が、勤務先:B社になっても、NISAは引き続き○○証券で利用できます。
つまり、
勤務先とNISAの金融機関は基本的に別と考えると分かりやすいでしょう。
NISAは会社の社会保険とは違う

退職時に混同しやすいところです。
会社員が退職すると、
健康保険
資格を失うため切り替えが必要。
厚生年金
60歳未満で再就職しない場合などは、国民年金への切り替えが必要。
NISA
原則として退職による切り替え不要。
という違いがあります。
したがって、
健康保険・年金と同じ感覚でNISAを変更する必要はありません。
退職後もNISAの積立を続けていい?
続けることはできます。
NISAには、「会社員でなければ利用できない」という条件はありません。
金融庁によると、日本国内に住む利用年の1月1日時点で18歳以上の人であればNISA口座を開設できます。
そのため、
会社員
↓
退職
↓
転職活動中
という期間でも、NISAを利用できます。
ただし、制度上利用できることと、家計上続けた方がよいことは別問題です。
退職後に収入が減ったら積立額を見直す

ここは50代では特に重要です。
例えば、
在職中:毎月5万円NISA積立
退職後:給与収入ゼロ
になった場合、「せっかく積み立ててきたから」と無理に毎月5万円を続ける必要はありません。
退職後はまず、
- 生活費
- 健康保険料
- 年金
- 住民税
- 住宅ローン
- 再就職までの資金
を確認しましょう。
そのうえで、
家計に余裕がある範囲で投資を継続する
ことが重要です。
NISAは満額投資しなくてもいい
年間投資枠が最大360万円あるからといって、
毎年360万円投資しなければ損
というわけではありません。
年間投資枠は、利用できる上限です。
退職によって収入が不安定になった場合は、
月5万円
↓
月1万円
に減らす考え方もあります。
あるいは、新しい仕事が決まるまで新規投資を控える方法もあります。
大切なのはISAの枠を使い切ることより、生活資金を守ることです。
積立を止めても保有商品を売る必要はない
これも重要です。
例えば、
NISAで投資信託500万円を保有している人が、退職によって毎月の積立を停止したとしても、
既に保有している500万円分の商品まで売却する必要はありません。
2024年からのNISAでは非課税保有期間が無期限です。
つまり、新しく買うことをやめると保有商品を売るは別の判断です。
退職しただけで慌てて売却する必要はありません。
退職金をすぐNISAへ入れてもいい?

退職金を受け取ると、「NISAの成長投資枠でまとめて運用しよう」と考える人もいるでしょう。
ただし、50代では慎重に考えることが重要です。
退職金には、
- 再就職までの生活費
- 住宅ローン
- 医療費
- 老後資金
- 税金・社会保険料
などの役割があります。
そのため、
退職金を受け取った
↓
すぐNISAへ一括投資
という判断はおすすめできません。
まず生活防衛資金を確保します。
退職時にNISAで確認したい5つのこと

- 1.積立額
- 2.引落口座
- 3.登録住所
- 4.金融機関
- 5.海外転居
- STEP1|現金を確認
- STEP2|今後1~2年の支出を確認
- STEP3|当面使わないお金だけ投資対象にする
- 1.退職したから全部売却する
- 2.退職金をすぐ全部投資する
- 3.NISA枠を無理に使い切る
- 4.収入がなくなっても積立額を変えない
- 5.引っ越したのに住所変更しない
- 6.金融機関変更のルールを確認しない
- 7.海外転居を国内転職と同じだと思う
- 会社を退職したらNISA口座はなくなる?
- 転職したらNISAの変更手続きは必要?
- 退職後もNISA積立を続けられる?
- 退職したらNISAの商品を売った方がいい?
- 退職金をNISAに入れていい?
- 証券会社を変更できる?
- 退職して海外へ移住する場合は?
1.積立額
退職後の収入で無理なく続けられるか確認します。
2.引落口座
給与振込口座を変更・解約する場合は、NISA積立の引落方法も確認します。
3.登録住所
退職を機に引っ越す場合は変更手続きが必要です。
4.金融機関
使いにくければ金融機関変更も検討できます。
5.海外転居
国内での転職とは扱いが異なるため注意が必要です。
引っ越した場合はNISAの住所変更が必要
退職そのものでは手続き不要でも、退職を機に引っ越す場合は注意してください。
国税庁によると、NISA口座を開設した後に、
- 氏名
- 住所
- マイナンバー
が変更になった場合は、NISA口座を開設している金融機関へ**「非課税口座異動届出書」**を提出する必要があります。
金融庁も同様に、住所・氏名・個人番号が変更された場合には、NISA口座を開設している金融機関で手続きが必要と案内しています。
したがって、
転職して勤務先だけ変わった
→ 原則NISA手続き不要
退職を機に住所も変わった
→ 住所変更手続きが必要
と覚えておきましょう。
NISAを別の証券会社へ変更できる?

できます。
例えば、
銀行AのNISA
↓
証券会社BのNISA
へ変更することも可能です。
NISAの金融機関は年単位で変更できます。
国税庁によると、一定の手続きを行うことで別の金融機関にNISA口座を変更できます。
金融機関変更の期限に注意
金融機関変更には期限があります。
変更後の金融機関でNISAを利用したい年の、前年10月1日から、その年9月30日までに変更手続きをする必要があります。
例えば、
2027年からB証券へ変更したい
なら、
2026年10月1日以降
に手続きを開始できます。
その年にNISAで買付していたら金融機関を変更できない場合がある
注意事項として、変更手続きを行う前に、その年に現在の金融機関のNISAで既に買付けをしている場合、その年分について金融機関を変更することはできません。その場合は翌年から変更します。
証券会社を変えると保有中のNISA商品も移せる?

ここは勘違いしやすいポイントです。
金融機関を変更した場合でも、変更前のNISAで保有している商品を、そのまま新しい金融機関のNISAへ移すことはできません。
以前の金融機関で保有している商品は、その金融機関のNISA口座で引き続き保有する形になります。
ただし、今後の新規投資は変更先の金融機関で行います。
そのため、
A証券:過去に購入したNISA商品
B証券:今後購入するNISA商品
という状態になることがあります。
NISAで売却すると枠はどうなる?

2024年からのNISAでは、商品を売却すると、その商品の取得金額(簿価)分の非課税保有限度額が翌年以降に復活します。
例えば、
100万円で購入
↓
150万円で売却
した場合、
翌年以降に再利用できる非課税保有限度額は、
100万円
です。
150万円ではありません。
また、復活した枠がその年の年間投資枠360万円に上乗せされるわけではありません。
退職したからNISA商品を売る必要はない
例えば、
「退職するので一度現金化した方がいいのでは?」
と考える方もいるでしょう。
しかし、
退職=売却
という制度上のルールはありません。
売却するかどうかは、
- 今後必要な生活費
- 投資期間
- リスク許容度
- 保有商品の内容
で判断します。
NISAの非課税保有期間は無期限なので、退職だけを理由に売る必要はありません。
旧NISAを持っている場合はどうなる?
2023年までの、
- 一般NISA
- つみたてNISA
の商品を保有している人もいるでしょう。
これらも退職したからといって売却する必要はありません。
金融庁によると、2023年までのNISAで購入した商品は従来の非課税期間のまま保有できます。
例えば2023年に購入したつみたてNISAの商品なら、2042年まで非課税保有できます。
また、旧NISAの保有額は、2024年からのNISAの1,800万円枠とは別枠で管理されます。
海外へ転職・移住する場合は注意
国内で会社を変えるだけなら問題ありませんが、
海外転勤・海外移住
の場合は話が変わります。
NISAは原則として日本国内に住む人を対象とする制度です。
ただし、海外転勤などによって一時的に出国する場合には、一定の手続きを行えば既にNISAで保有している商品について、最長5年間、非課税措置を継続できる制度があります。
海外滞在中は新しくNISAで買える?

継続適用の手続きを行った場合でも、海外へ出国している期間中は、新たな商品をNISA口座へ受け入れることはできません。
つまり、
既に持っているNISA商品
→ 条件を満たせば保有継続可能
海外滞在中の新規NISA投資
→ 原則できない
という違いがあります。
海外転勤が決まった場合は、必ず利用している金融機関へ早めに確認してください。
帰国した場合も手続きが必要
一時的な海外転勤から帰国した場合には、「帰国届出書」などの提出が必要になります。
一定期間内に必要な手続きをしない場合、NISA口座が廃止扱いとなるケースがあります。
海外勤務になる場合は、国内転職とはまったく別の手続きが必要と考えておきましょう。
退職後のNISAで最も注意したいのは「生活費」
50代の退職では、制度上の手続きよりも家計面の方が重要になることがあります。
例えば、
退職前:
給与月40万円
NISA:
毎月10万円積立
退職後:
収入ゼロ
なら、以前と同じ毎月10万円積立を続けることが家計を圧迫する可能性があります。
退職後は、
NISA枠を使うこと
より
生活資金を確保すること
を優先しましょう。
退職後に確保しておきたいお金

NISAへ追加投資する前に、
- 毎月の生活費
- 健康保険料
- 年金
- 住民税
- 住宅ローン
- 再就職活動費
- 緊急予備資金
を確認します。
特に50代の場合は、転職活動が長引いたときも考えます。
→ 退職後のお金はいくら必要?50代が確認しておきたい生活費
退職金をNISAに入れるなら一括か積立か?
これは一律には決められません。
2024年以降のNISAでは、つみたて投資枠と成長投資枠を併用できます。年間では最大360万円まで投資できます。
ただし、
制度上360万円投資できる
と
360万円投資した方がよい
は別です。
退職金の大部分を一度に投資すると、その直後に相場が下落した場合、大きな含み損になる可能性があります。
まず生活資金を確保し、当面使わない余裕資金だけで検討しましょう。
NISAには元本保証がない
NISAそのものは、
税金を優遇する制度
です。
利益を保証する制度ではありません。
投資信託や株式は価格が下落することがあります。
つまり、
100万円投資
↓
80万円
になる可能性もあります。
「NISAだから安全」
ではありません。
金融庁も、NISAを長期・積立・分散による資産形成に活用する制度として案内しています。
退職後にNISAを続けるか判断する3ステップ
STEP1|現金を確認
預貯金と退職金を確認します。
STEP2|今後1~2年の支出を確認
再就職までの生活費などを計算します。
STEP3|当面使わないお金だけ投資対象にする
余裕資金でNISAを検討します。
これなら、
生活資金を投資してしまう
リスクを抑えられます。
50代でNISAを続けるメリット
50代でも、資金に余裕があり長期的に運用できるならNISAを利用できます。
2024年以降のNISAには、
- 非課税保有期間が無期限
- 制度が恒久化
- 年間最大360万円
- 生涯投資枠最大1,800万円
- 売却した簿価分を翌年以降再利用可能
という特徴があります。
年齢だけを理由に、
「もう50代だからNISAは遅い」
と考える必要はありません。
退職後のNISAで避けたい7つの行動

1.退職したから全部売却する
制度上、売る必要はありません。
2.退職金をすぐ全部投資する
生活資金を先に確保しましょう。
3.NISA枠を無理に使い切る
年間投資枠は上限です。
4.収入がなくなっても積立額を変えない
家計に合わせて見直します。
5.引っ越したのに住所変更しない
住所変更手続きが必要です。
6.金融機関変更のルールを確認しない
変更可能な時期があります。
7.海外転居を国内転職と同じだと思う
海外転居では別途手続きが必要です。
退職・転職時のNISAチェックリスト
- □ NISA口座の金融機関を確認した
- □ 保有商品を確認した
- □ 毎月の積立額を確認した
- □ 退職後も積立可能な家計か確認した
- □ 引落口座を確認した
- □ 引っ越す場合は住所変更をした
- □ 金融機関を変更するか検討した
- □ 海外転居の予定がないか確認した
- □ 退職金をすぐ投資しない
- □ 再就職までの生活費を確保した
- □ 緊急予備資金を確保した
退職とNISAについてよくある質問
会社を退職したらNISA口座はなくなる?
通常の国内での退職だけなら、NISA口座を解約する必要はありません。
NISAは勤務先ではなく本人が金融機関に開設する制度です。
転職したらNISAの変更手続きは必要?
勤務先が変わるだけなら、原則としてNISAの金融機関変更は必要ありません。
住所・氏名・マイナンバーなどが変わった場合は金融機関への届出が必要です。
退職後もNISA積立を続けられる?
制度上は可能です。
ただし退職で収入が減った場合は、生活費・健康保険・年金などを確認してから積立額を判断しましょう。
退職したらNISAの商品を売った方がいい?
退職したことだけを理由に売却する必要はありません。
2024年からのNISAは非課税保有期間が無期限です。
退職金をNISAに入れていい?
余裕資金なら検討できます。
ただし再就職までの生活費・予備資金・近い将来使う資金を先に確保することが重要です。
証券会社を変更できる?
できます。
NISAの金融機関は年単位で変更できますが、手続き期限や、その年にすでに買付けしている場合の制限があります。
退職して海外へ移住する場合は?
国内退職とは扱いが異なります。
海外転勤などによる一時出国では、一定の届出をすることで既存のNISA商品を最長5年間継続保有できる制度がありますが、出国中の新規買付けはできません。
まとめ|退職してもNISAは原則そのまま。重要なのは積立額と生活資金の見直し
会社を退職・転職しても、NISA口座そのものは原則そのまま利用できます。
勤務先が変わったからといって、
- NISAを解約する
- 保有商品を売る
- 証券会社を変更する
必要はありません。
2024年からのNISAは非課税保有期間が無期限となり、年間最大360万円、非課税保有限度額は最大1,800万円です。
一方、退職時には次を確認してください。
- 毎月の積立額
- 引落口座
- 住所変更
- 金融機関変更の必要性
- 海外転居の有無
特に重要なのが、退職後の家計です。
NISAは税制上有利な制度ですが、生活費を削ってまで投資する制度ではありません。
退職したら、
再就職までの生活費
↓
健康保険・年金・住民税
↓
住宅ローンなど固定支出
↓
緊急予備資金
↓
余裕資金
の順番で確認しましょう。
そのうえで余裕があれば、NISAの積立を継続したり、積立額を調整したりします。
また、退職を機に引っ越した場合は、金融機関へ住所変更の届出が必要です。
金融機関を変更する場合にも所定の手続きがあります。
つまり、「退職したからNISAをどうするか」ではなく、「退職後の収入と生活費を踏まえて、NISAへいくら回せるか」を考えることが重要です。

