「会社を辞めたら健康保険はどうなる?」
「任意継続と国民健康保険はどちらが安い?」
「家族の扶養に入ることはできる?」
退職後に転職先へすぐ入社しない場合、必ず確認しておきたいのが健康保険です。
会社員として健康保険に加入している場合、原則として退職日の翌日にその健康保険の資格を失います。
そのため、退職後は新しい健康保険への加入手続きが必要です。
協会けんぽでは、退職後の健康保険について、
- 健康保険の任意継続
- 国民健康保険
- 家族の健康保険の被扶養者
の3つを主な選択肢として案内しています。すぐ転職する場合は、新しい勤務先の健康保険に加入することになります。 (協会けんぽ)
この記事では、退職後の健康保険の選択肢、保険料、手続き期限、選び方を分かりやすく解説します。
退職したら会社の健康保険はいつまで使える?

会社の健康保険の資格は、原則として退職日までです。
例えば、
3月31日退職
なら、
3月31日までは会社の健康保険の被保険者です。
そして、
4月1日から資格喪失
となります。
退職後も以前の資格情報を使って受診しないよう注意してください。
退職後は、
次の健康保険へ切り替える
必要があります。
退職後の健康保険は4つの選択肢がある
大きく分けると次の4つです。
| 選択肢 | 主な対象 |
|---|---|
| 転職先の健康保険 | すぐ再就職する人 |
| 任意継続 | 前職の健康保険を続けたい人 |
| 国民健康保険 | 退職後しばらく会社員にならない人 |
| 家族の健康保険の扶養 | 扶養条件を満たす人 |
どれが一番得かは人によって異なります。
特に、
任意継続と国民健康保険は必ず保険料を比較
した方がよいでしょう。
1.すぐ転職するなら転職先の健康保険
退職後すぐ別の会社へ入社し、その会社の社会保険加入条件を満たす場合は、基本的に転職先の健康保険へ加入します。
例えば、
3月31日:前職退職
4月1日:新会社入社
なら、健康保険の空白期間が生じない形で手続きされることがあります。
新しい勤務先の人事担当者から、
- マイナンバー
- 基礎年金番号
- 雇用保険被保険者番号
など、入社手続きに必要な情報を求められる場合があります。
転職先が決まっているなら、事前に必要書類を確認しておきましょう。
2.健康保険の任意継続
退職後も、一定条件を満たせば、それまで加入していた健康保険を継続できる制度があります。
これが健康保険任意継続制度です。
協会けんぽの場合、任意継続するためには次の2つの条件があります。
- 資格喪失日の前日までに健康保険の被保険者期間が継続して2か月以上ある
- 資格喪失日、つまり原則退職日の翌日から20日以内に申請する
という条件です。 (協会けんぽ)
任意継続の申請期限は20日以内
ここは非常に重要です。
例えば、
3月31日退職
なら、
4月1日が資格喪失日
です。
そこから20日以内に申請する必要があります。
協会けんぽでは、郵送の場合も20日以内に到着する必要があるとしています。 (協会けんぽ)
そのため、
「国民健康保険とどちらにするか、退職後ゆっくり考えよう」
では期限に間に合わない可能性があります。
退職前に保険料を調べておくことをおすすめします。
任意継続は何年間加入できる?

協会けんぽの任意継続は、原則として2年間です。 (協会けんぽ)
ただし、
- 新しい会社の健康保険へ加入した
- 後期高齢者医療制度へ移行した
- 本人が任意継続をやめる申し出をした
など一定の場合は、2年未満で資格を失うことがあります。 (協会けんぽ)
以前は本人の希望だけでは途中脱退できない制度でしたが、現在は申し出による資格喪失も可能です。
任意継続の保険料はいくら?

在職中は健康保険料を、
会社と本人で負担
していました。
任意継続では会社負担がなくなるため、本人が全額負担します。
そのため、協会けんぽでは一般的に、退職前に給与から控除されていた健康保険料のおおむね2倍が一つの目安になります。
ただし上限があり、都道府県や条件によって単純に2倍にならないこともあります。 (協会けんぽ)
2026年時点の協会けんぽでは、任意継続の保険料計算に用いる標準報酬月額には32万円の上限があります。 (協会けんぽ)
したがって、高年収だった人ほど、
任意継続の方が国民健康保険より安くなる可能性
もあります。
ただし実際の金額は個別に比較してください。
60~64歳は介護保険料も確認する
40歳以上65歳未満の人は、健康保険料に介護保険料が加わります。
協会けんぽの任意継続でも、40歳以上65歳未満は介護保険料率を含めて保険料が計算されます。 (協会けんぽ)
そのため、60代前半で退職する場合は、
健康保険料だけではなく介護保険料も含めて比較
しましょう。
任意継続は扶養家族がいる人に有利な場合がある
任意継続では、扶養条件を満たす家族については、基本的に被扶養者として加入でき、扶養家族一人ずつに健康保険料が追加される仕組みではありません。
一方、国民健康保険は世帯人数や前年所得などによって保険料が決まります。 (協会けんぽ)
例えば、
本人+配偶者+子ども
という世帯なら、
任意継続の方が保険料を抑えられるケース
も考えられます。
ただし、必ず任意継続が安いわけではありません。
国民健康保険の試算も行って比較しましょう。
3.国民健康保険へ加入する
退職後、
- 転職先の健康保険へ加入しない
- 任意継続を利用しない
- 家族の扶養にも入らない
場合は、原則として国民健康保険への加入を検討します。
国民健康保険は、お住まいの市区町村で手続きします。
厚生労働省によると、国民健康保険の加入・脱退などは、原則として14日以内に市区町村の窓口へ必要書類を提出します。 (厚生労働省)
国民健康保険の保険料はどう決まる?
国民健康保険の保険料は、
- 前年の所得
- 世帯人数
- 自治体
などによって異なります。
協会けんぽも、国民健康保険について、
前年所得や加入する世帯人数などで決まり、市区町村によって保険料額が異なる
と案内しています。 (協会けんぽ)
つまり、
「退職して収入がゼロだから、すぐ国民健康保険も安くなる」
とは限りません。
退職した年は、前年の給与所得が高かったため国民健康保険料も高くなる可能性があります。
国民健康保険には「扶養」という考え方がない
会社の健康保険との大きな違いです。
会社の健康保険では、条件を満たした配偶者などを被扶養者にできる場合があります。
しかし国民健康保険では、原則として家族一人ひとりが被保険者となります。
保険料も世帯人数などを含めて計算されます。 (協会けんぽ)
そのため家族が多い場合は、
任意継続との保険料差が大きくなる可能性
があります。
国民健康保険には減免制度がある
国民健康保険には、条件によって保険料の減免制度があります。
協会けんぽも、国民健康保険について保険料の減免制度があることを案内しています。 (協会けんぽ)
また、会社都合など一定の理由で離職した場合には、国民健康保険料の軽減対象になるケースもあります。
制度や条件は自治体によって確認が必要です。
退職理由が、
- 解雇
- 雇い止め
- 倒産
- 一定の会社都合
などの場合は、市区町村の国民健康保険窓口へ確認しましょう。
国民健康保険への加入に必要なもの
自治体によって異なりますが、一般的には、
- 本人確認書類
- マイナンバー関係書類
- 健康保険の資格を失ったことが分かる書類
などが必要になります。
協会けんぽでは、国民健康保険加入時に必要となる資格喪失証明について、日本年金機構から証明を発行してもらえる場合があると案内しています。 (協会けんぽ)
4.家族の健康保険の扶養に入る
家族が会社員などで健康保険に加入している場合、条件を満たせば、その家族の被扶養者になれる可能性があります。
大きなメリットは、
被扶養者本人に健康保険料の負担が原則発生しない
ことです。 (協会けんぽ)
ただし、誰でも入れるわけではありません。
60歳以上の扶養の収入基準は?
協会けんぽでは、60歳以上の場合、原則として年間収入180万円未満が収入基準の一つです。
さらに、
- 被保険者との生計維持関係
- 同居・別居
- 被保険者本人の収入
などの条件もあります。 (協会けんぽ)
なお、年金収入や失業給付なども扶養判定上の収入として扱われる場合があります。 (協会けんぽ)
したがって60代で、
年金を受け取りながら家族の扶養へ入る
場合は、年金額も含めて条件を確認する必要があります。
失業給付を受けると扶養に入れないことがある
失業給付も扶養判定上の収入として扱われます。
協会けんぽの資料では、60歳以上の場合、基本的な年間収入基準180万円未満に対応する収入日額として5,000円未満が示されています。 (協会けんぽ)
失業給付の日額が基準以上になる場合、受給中は扶養認定されないことがあります。
家族の健康保険へ入る予定なら、失業給付の受給額も確認してください。
2026年4月から扶養認定の収入確認ルールが一部変更

2026年4月1日から、被扶養者認定の年間収入の扱いについて一部変更が行われています。
協会けんぽでは、労働契約で定められた賃金から見込まれる年間収入を用いる新しい取扱いを案内しています。 (協会けんぽ)
扶養の条件は細かいため、
家族の勤務先または加入する健康保険組合へ確認すること
が確実です。
任意継続と国民健康保険はどちらが安い?
これは非常によくある疑問です。
結論として、
実際に計算しないと分かりません。
主な違いは次のとおりです。
| 比較項目 | 任意継続 | 国民健康保険 |
|---|---|---|
| 保険料の基準 | 退職時の標準報酬月額 | 前年所得・世帯人数など |
| 家族 | 扶養制度あり | 扶養制度なし |
| 加入期間 | 原則2年間 | 条件を満たす間 |
| 手続期限 | 原則20日以内 | 原則14日以内 |
| 手続先 | 健康保険の保険者 | 市区町村 |
| 保険料軽減 | 基本的に限定的 | 減免制度等あり |
任意継続は、扶養家族が多い場合や、退職前の標準報酬月額が上限を超えていた場合に有利になることがあります。
一方、国民健康保険は前年所得が低い人や、減免制度の対象になる人などで安くなる場合があります。
退職前に保険料を比較する方法
おすすめは次の順番です。
STEP1
現在加入している健康保険へ、
「任意継続した場合の月額保険料」
を確認する。
↓
STEP2
住んでいる市区町村へ、
「国民健康保険へ加入した場合の概算保険料」
を確認する。
↓
STEP3
家族の勤務先へ、
「被扶養者になれるか」
を確認する。
↓
STEP4
それぞれの保険料と条件を比較する。
これを退職前にしておくと安心です。
特に任意継続には20日の申請期限があります。 (協会けんぽ)
退職後の健康保険の選び方
すぐ転職する
→ 転職先の健康保険
前職の保険を続けたい
→ 任意継続を検討
しばらく再就職しない
→ 国民健康保険と任意継続を比較
家族の扶養条件を満たす
→ 家族の健康保険も比較
という考え方が分かりやすいでしょう。
50代・60代は「家族分」まで含めて比較する
例えば60歳で退職し、配偶者を扶養している場合です。
任意継続なら、条件を満たす配偶者を引き続き扶養にできる場合があります。
国民健康保険の場合は、本人と配偶者がそれぞれ被保険者になります。
そのため、
自分一人の保険料だけを比較しない
ことが重要です。
世帯全体で、
年間いくらになるか
を比較しましょう。
退職後すぐ健康保険の手続きをしないとどうなる?
健康保険へ加入せずに放置するのはおすすめできません。
国民健康保険の加入対象者の場合、加入日は原則として健康保険の資格を失った日までさかのぼります。
後から加入手続きをしても、保険料もさかのぼって納めることになる可能性があります。
また、保険手続きが完了していない状態で医療機関へかかると、一時的に医療費を全額負担することになる場合があります。
退職したら速やかに手続きを進めましょう。
退職後の健康保険とマイナ保険証
現在は、従来の健康保険証ではなくマイナ保険証を利用する仕組みが中心になっています。
ただし、
マイナンバーカードそのものが同じでも、健康保険の加入資格は変わります。
退職前の会社の健康保険資格がなくなれば、その資格で受診することはできません。
任意継続、国民健康保険、転職先の健康保険など、新しい資格の登録・反映を確認しましょう。
退職前に確認する健康保険チェックリスト

- □ 退職日はいつか
- □ 次の会社の入社日はいつか
- □ 健康保険の空白期間があるか
- □ 任意継続の保険料を確認した
- □ 国民健康保険料を試算した
- □ 家族の扶養に入れるか確認した
- □ 任意継続の20日以内という期限を確認した
- □ 国民健康保険の14日以内という届出期限を確認した
- □ 健康保険資格喪失関係の書類を確認した
- □ 60歳以上なら扶養の年金収入なども確認した
退職後の健康保険についてよくある質問
退職後は必ず国民健康保険に入る?
いいえ。
任意継続、家族の被扶養者、転職先の健康保険など、条件によって別の選択肢があります。 (協会けんぽ)
任意継続は何日以内に申請する?
協会けんぽの場合、資格喪失日から20日以内です。通常は退職日の翌日が資格喪失日となります。 (協会けんぽ)
国民健康保険はいつまでに手続きする?
原則として、国民健康保険の加入資格を取得した日から14日以内です。 (厚生労働省)
任意継続と国民健康保険はどちらが安い?
人によって異なります。
任意継続は退職時の標準報酬月額、国民健康保険は前年所得・世帯人数・自治体などにより保険料が決まるため、両方を試算しましょう。 (協会けんぽ)
60歳以上でも家族の扶養に入れる?
条件を満たせば可能です。
協会けんぽでは60歳以上の場合、年間収入180万円未満などの基準があります。年金や失業給付なども収入として扱われる場合があるため確認が必要です。 (協会けんぽ)
任意継続は途中でやめられる?
現在は本人が資格喪失を申し出て終了することも可能です。ほかの健康保険へ加入した場合などにも資格を失います。 (協会けんぽ)
任意継続の期間は?
原則2年間です。 (協会けんぽ)
まとめ|退職後の健康保険は「任意継続・国保・扶養」を退職前に比較しよう
退職後の健康保険は、主に、
- 転職先の健康保険
- 前職の健康保険を任意継続
- 国民健康保険
- 家族の健康保険の扶養
から考えます。
特に、転職先が決まっていない場合は、
任意継続
と
国民健康保険
を比較することが重要です。
任意継続は、
- 退職前に健康保険へ継続して2か月以上加入
- 資格喪失日から20日以内に申請
という条件があります。加入期間は原則2年間です。 (協会けんぽ)
一方、国民健康保険は、お住まいの市区町村で原則14日以内に加入手続きを行います。保険料は前年所得、世帯人数、自治体などによって異なります。 (厚生労働省)
そして家族の健康保険の扶養条件を満たすなら、被扶養者自身の健康保険料負担が原則ないため、有力な選択肢です。60歳以上では年間収入180万円未満などの要件を確認してください。 (協会けんぽ)
大切なのは、
「退職したらとりあえず国民健康保険」
と決めないことです。
退職する前に、
任意継続はいくら?
↓
国民健康保険はいくら?
↓
家族の扶養に入れる?
↓
世帯全体ではどれが負担が少ない?
まで比較しましょう。
特に任意継続は20日以内という期限があるため、退職後に考え始めるより、退職日が決まった時点で調べておくことをおすすめします。

